三日目 台東〜瑞穂温泉〜花蓮〜太魯閣渓谷〜宜欄
どしゃ降りの一日、夜の祭り。
今朝も気分よく六時に目が覚める。荷物も乾いている。今日は海沿いの道を北上して、花蓮（ファレン）か宜蘭（イーラン）まで行こう。途中、景勝地の太魯閣（タロコ）にも寄りたい。地図上ではおよそ三〇〇ｋｍ、所要時間は六時間半と出た。ただ今日の天気予報では午後からまた天気が悪くなるらしい。
〜中略〜
チャルメラと太鼓、銅鑼の音、怒号と掛け声と笑い、拍手、野次馬のスクーターのエンジン音にクラクション、爆竹、ロケット花火、火薬のにおい、煙の向こうには赤や青の電飾、背の小さい神様は飛び跳ね回転し走り回り、背の高い神様は巨大な頭を揺らしながら腕を振り回し、小中学生の楽団、青年部らしい神輿、なぜか若い女性五人組のダンスグループが水着のような衣装で踊ったかと思えば巨大なスピーカーを満載してズンガズンガと空気を震わせながら通り過ぎるカスタムカーが数台、寺の前の狭い通りはこの世の混乱をすべて放り込んでメチャメチャにかき回してぶちまけたような騒ぎだった。
神様たちは一人一人踊りながら寺の中に消えていく。神様が減っていくにしたがって鳴り物が少なくなりだんだんと人垣が薄くなる。特に挨拶も儀式も無いまま自然に騒ぎは静まっていった。
今日一日、雨で苦しめられてほうほうの体でたどり着いた宜蘭の街で、こんなサプライズが用意されてるとは、なんて素敵な計らいだろう。もし諦めて途中の町で宿を取っていたらどうしていただろう。考えてもしようがないけど旅の偶然とは不思議なものだと思う。
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