二輪旅行

旅行、バイク、写真など。

レンタルバイクで台湾一周ツーリング〜4日目〜

四日目 宜欄〜台北九份
    海を眺めながら中国茶を。

Jiufen

ホテルの外に出てみると、すでにジリジリと夏の陽射しが地面を照らし、路地に残った湿った空気を沸騰させていた。今日は首都であり台湾一の大都会である台北まで行き二泊するつもりだ。宜蘭から台北まではそれほど距離も無いので半日で到着できるだろう。ホテルの隣に停めたバイクにはまだピンクの傘がかけてあった。そっと畳んでロビーに返しておく。さあ、出発だ。

台北に向かう前に宜蘭で朝食を済ませておこう。食べるのはどこでも良かったのだが、昨夜の祭りのあった寺がその後どうなっているのか気になったのでそこまで行ってみることにする。それに寺の前には朝からやっている食べ物屋が多いのだ。道順を思い出しながら行ってみると、みすぼらしい寺が建っていた。ここで間違いない。だが、昨夜のものすごい騒ぎの痕跡は全くなかった。不思議なことに道路一面に散らばっていた爆竹の破片の赤い紙もまったく見当たらない。寂れたと言ってもいいような寺の静けさと、何の華やかさも祭りの余韻も無い通りを見ていると、昨夜のことが本当にあったことなのか分からなくなってくる。

 

 

〜中略〜

 

まだ昼過ぎで時間はたっぷりある。今日は気分を変えて列車に乗って九份(ジウフェン)に行ってみよう。一度台湾の鉄道にも乗ってみたい。

九份台北から日帰りできる観光地として最近注目を集めているところだ。元々は何もない田舎の村だったのが、一時期金鉱が発見されて賑わい、その後閉鎖に伴ってまた寂れていった。ところが二二八事件を扱った映画「悲情城市」のロケ地として脚光を浴びたのをきっかけに、村おこしとして内外にPRを始めた結果、今では世界中からたくさんの観光客を集めるエリアに生まれ変わった。日本ではジブリ映画の千と千尋の神隠しのモデルになったという噂が出て一気に有名になった。この噂は否定されたのだが、細い階段の入り組んだ老街に沢山の赤い提灯が下がる茶館の風景はそれでもあのアニメの雰囲気そのままで、ぜひとも一度この目で見てみたいと思っていたのだ。

ガイドブックによると台北駅から九份へは台湾鉄道の宜蘭経由の花蓮行きに乗り、瑞芳(ルイファン)とう駅で降りる。ちょうどバイクで走ってきた経路を逆戻りする路線になる。瑞芳まではおよそ四〇分。それからバスで一五分程度となっている。

台北駅の広い構内で切符売り場を探していると一人の男性に声をかけられた。中国語で言われても分からないのだが何処へ行くのか、と聞いているようだ。

「ジウフェン、ジウフェン!」

と言うと、着いて来いと手招きしながら先に歩き、券売機のところまで連れて行ってくれた。

九份に行くには瑞芳で降りるんだ!」

 

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レンタルバイクで台湾一周ツーリング

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