二輪旅行

旅行、バイク、写真など。

レンタルバイクで台湾一周ツーリング〜6日目〜

六日目 台北〜台中〜埔里
    蝶の山、温泉の夜。

 

 

朝七時、台北駅近くのお粥の店でツミレのお粥をテイクアウトして朝食にする。

すでにホテルの前の道路は渋滞が始まっている。台北の朝の道路はものすごいバイクの数だ。ここでも一車線分の幅で二輪専用車線としてスペースを取ってあるのだが、そこをスクーターの大群が肩を触れ合わさんばかりの密度で集団大移動を行っている。OL風のぱりっとしたブラウスにタイトなスカートの若い女性もいれば、いかにも肉体労働者風のタンクトップに日焼けした腕を見せた男性、暑い中スーツを着込んだビジネスマン、檳榔で真っ赤になった唾を信号待ちの度に地面に吐いているオバちゃん、ステップに小学生くらいの男の子を立たせ後ろにはまだ幼稚園児くらいの女の子を乗せたお姉さん、老いも若きも、男も女も、勤め人も学生も、品の良さそうなのもガラの悪いのも。とにかく皆どこかへ向かってバイクを走らせている。ただ興味深いのはこれだけバイクが多くてもまったく恐怖感を覚えないところだ。マナーが良いかというと信号を守らない人もいるし、やたらスピードを出す人もいる。しかしゆっくり走っていて煽られたりするようなことは一度もないし、幅寄せや急に前に割り込んできたりというようなことも一度もない。車も右左折のときはバイクに遠慮しているような動きをする。おそらくほぼ全ての国民がバイクに乗っていて、バイクがどういう乗り物か理解されているからだろう。やはり台湾はバイクの国で、台北はバイクの街だ。

 

〜中略〜

 

ロビーに入るとみんなさっきのまま、弟子がパソコンに向かい師匠が画面を指してあれこれ言い、オーナーと女性は明日の行き先に着いて話し合っていた。ビールをプシュッと開けてとりあえずシュワシュワした金色の液体を喉に送り込むとやっと本当にくつろいだ気分になってきた。

弟子と師匠の後ろからパソコンの画面を覗き込むと、一面に緑の山の衛星画像が出ている。二人は一面の緑を指差して、このあたりが良さそうだ、明日はこのあたりを狙ってみましょう、と話している。蝶のいそうな所に目星をつけているらしい。少し虫取りのことを聞いてみた。

「山の中までどうやって行くんですか?」

「バスに乗ってだいたいの場所で降りたらあとは歩きですよ」

「毎日ですか?」

「ええ、台北に着いてから真っすぐここへ来て、毎日山に入って、連休の終わりには台北に戻ってそのまま帰ります」

「どこへも寄らずに?」

「はい。そういえばあなたはバイクで旅行してるんですよね。変わってますねえ」

 

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レンタルバイクで台湾一周ツーリング

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